スキー・フリースタイル競技の1つであるモーグル。Mogulの語源は当然「潜る」ではなく、ノルウェー語で「雪上のコブ」を意味するそうです。中級スキーヤーでもほぼ侵入を避けるであろう規則的なコブが配置された斜度30度前後の急斜面(約200m強)で、途中2つのジャンプ台があり、2回のエア演技を入れてコブ斜面滑走をウサイン・ボルト🏃‍♂️と同じくらいのスピード(比較がおかしいですが)で滑り降りるという、スキー大好き人間でさえ見れば目がテン👀になる競技です。海外では雪じゃなく氷?という固いコースも多いのだとか。またレース中はスタートとともにビートの効いた音楽🎶が流れるので、思わず「イェーイ!」と声を上げ・・・たりはしませんが、たまに意外な曲が流れてズッコケそうになることもあります。ごく稀ですけど。
 競技の歴史は浅く、オリンピックでは1992年・アルベールビルで正式種目となりました。1998年・長野での里谷多英選手の金メダル(2002年・ソルトレークでも銅)、上村愛子選手のワールドカップ年間女王や世界選手権制覇、2017年・世界選手権で堀島行真選手が優勝、2018年・平昌で原大智選手が男子初のメダル(銅)を獲得、女子も2021年には高校生の川村あんり選手がワールドカップで優勝するなど、北米や欧州に並び🎌日本も代表争いが熾烈なかなりの強豪国です。2022年北京オリンピックでは、男女ともMAXの各4名が参加、男子で堀島選手が銅メダルを獲得しました。

1人ずつ滑るモーグル種目(MO)🎿

 一人が滑るごとに採点が行われ、その点数で順位が決まる採点競技です。滑走順も意外と大事だったりします。予選上位者で決勝(大会によってはさらに上位者でスーパーファイナルとかもあり)を実施します。
 採点は、ターン技術、エア演技、 スピードの3要素で審査されますが、点数配分はターン60点、エア20点、スピード20点。大技のジャンプやスピードに注目されますが、あくまで最重要要素は「ターン」なのです。

ターン
 スタートからゴールまで直線的に(フォールライン)、トップからテールまで一本の軌道を描き(カービングターン)、膝から下の伸縮を上手く使ってコブの形に合わせて体を伸縮させ(吸収動作)、上半身は常に前方を向き真っ直ぐ自然な状態で滑走できているかが採点ポイントです。柔らかなひざ使いで、滑らかに正確にコブを乗り越えることが基本なのですね。ジャッジはまずベースポイントなるものを付け、そこからミスするごとに減点する採点法のようです。ちなみに途中で板が外れるとその時点で失格(DNF)となります。
 一般スキーヤーが下手にモーグル選手のターンを真似すると、ほぼほぼ膝が壊れますのでご注意を( ;∀;)。

エア
 フィギュアスケートのジャンプと同じで、技の難度×完成度(出来栄え)で点数が決まります。2回のジャンプを異なる技で演技しなければなりません。2003年頃まではブーツが頭より上にくる様な技は禁止されていました(長野五輪後のスキー場では「コザック!」と叫びながら開脚屈伸ジャンプをする“にわかモーグラー”が多発したとか)が、その後解禁され、バックフリップとかコークとかフルツイストなどといった、宙返りやひねりを加えた回転などが主流になり、最近は小学生や女子でもこのような技を使用しています。世界のトップ選手の最高難度技としてはコークスクリュー1440(斜め4回ひねり)があります。これで正確なランディング(着地)をされると、もはや開いた口がふさがりません。
 一般スキーヤーは下手に真似を…しないですよね。選手たちは夏場にウォータージャンプで練習を重ねて技術を習得し、雪上でも必ず頭にヘルメット・背中にプロテクターを着用していますので。safety first👷。

タイム
 コースの長さによって男女それぞれのペースタイムが決められ、実際かかったタイムが、とある計算式により20点満点で自動的に決定されます。直線的な高得点のターンができると自然とタイムも短縮されてきます(暴走を除く)。ちなみにターンを無視して直滑降でゴールすれば、タイム点だけは期待できるかも(◎_◎;)。

2人同時に滑るデュアルモーグル種目(DM)🎿🎿

 オリンピック種目ではないのですが、世界選手権やワールドカップで行われており、国内大会でも実施されています。コースの左右に分かれて同時にスタートし勝敗を決める勝ち抜きトーナメントです。「先にゴールしたほうが勝ち!イェーイ!✌」ではなく、MOと同様にターン・エア・タイム・総合評価の合計で勝敗が決まります。レース展開による駆け引きも見もので、見ているとどっちが勝ったのか結構ドキドキし、観戦して面白いのはこちらかなと(オリンピックでもぜひ採用してほしい!)。選手としては、ファイナルまで勝ち進むと5~6本滑ったりもするので疲労感半端ないと思います。また、左右のコースでコンディションも違うため、結構神経を使うところでもありそうです。その分勝った時の充実感も半端ないことでしょう。
 コースは下から見上げて左側が青(ブルーコース)、右側が赤(レッドコース)に旗で色分けされています。「信号🚥と同じ」と考えればすぐに覚えられそうです。
(追記)2022.6.24のIOC理事会で、2026オリンピックでのデュアルモーグル実施が決定したようです!

大会について

 全日本スキー連盟(SAJ) 公認の大会は、一部ジュニアの大会を除き、ほとんど年齢の区分がありません。成績によってポイント(SAJポイント)が与えられ、年間の獲得ポイントにより、翌シーズンでA級、B級と出場できるカテゴリーが決まります。A級の中でもさらに上位者は全日本選手権の出場権を得られます(2021/2022シーズンより、男子は80位以上がA級、81位以下がB級、※全日本選手権は原則40位以上)。なお、大会名に地名が付いているものが多いのですが、すべて全国大会です。また国際スキー連盟(FIS)公認にもなっている大会だとSAJポイントと別にFISポイントが与えられ、その獲得状況が代表入りの条件となっています。
 毎年公認大会が行われているのは、北海道・秋田・福島・新潟・長野・富山などですが、通常の練習も含めてモーグルコースを常設しているところはあまり多くありません。こまめな手入れが必要なだけに、コースを与えていただけるスキー場関係者の皆様や指導者の皆様には🙇‍♂️感謝です。